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田中明美の実況中継?シューマン音源到着 [ピアノ]

  11月中旬に録音作業したシューマンの音源が届きました!

 これからまたひと仕事です。音の確認、曲間の調整等の作業です。実際にCDを制作するのは私ではありませんが音を入れた後の確認作業は大事な仕事です。
 引き続きジャケット、盤面等のお仕事も担当の方との打ち合わせがあります。

 随分と迫力のある録音のようです。録音の直前に高熱の出た風邪の最中で一体どうなるのか?
家族はこのひどい風邪の私を見て練習が出来ていない事もあり「いつ〝録音をやめる〟と言うのかと思ったら、やっちゃうんだもんねー。・・・・」と冷や冷やものでした。
 
 少しだけ聴いています。前向きな演奏ではないかと思います・・・(妥協?)
 演奏を聴いてみると、細部にわたって拘った箇所がやはり機械を通すとライブとは違ったものになるのは仕方ないのでしょうか・・・マイクは楽器に入れて、あとは客席からも2本入っています。


          録音中は汗ビッショリです。。。空調も止めるので冬なのに常夏の気分         
       ホールにあるデジタル時計の音も入るので時計盤の電源も切ってもらいました
        朝のお掃除のおねえさんたちも舞台裏のお掃除は中止してもらいました

 私はライブの演奏会も大好きですが、追い詰められて自分の弱い面がはっきりとわかってしまう録音作業も結構好きかもしれません。リサイタルではどんなに弾いても90分で終わりますが録音は朝から夜まで弾きっぱなしです。終わってしまうと「よくあんなに頑張れたな。」と思うのですが録音の最中は時間の経過もすっかり忘れています。ですから終わった後は魂の抜け殻になります。
 音のミスも許されないものは演奏し直ししますが機械での編集は避けます。以前にベートーベンの録音の際、どうにも弾けなくなった所があり編集で音を入れることを試みてみました。が、そこだけが周囲の音楽と流れが違い気持ちが悪いのです。怪我の傷跡が目立つのと同じくらいだと思いました。

  先月はこの録音も含めてかなり魂が抜けた一か月でした。
 これからもう少し音源を聴き曲間の編集などを打ち合わせします。
 演奏してしまったものはもう一度演奏しない限り直すことは出来ないので少々妥協も必要となります。その妥協の見極めが辛いところです。
 
 昨日、レッスンにいらした生徒さんが「私、アルゲリッチのスケルツォに今はまっているんですけれど、演奏の合間にカタカタっていう木製の音が聴こえるんですよ。これって何なんでしょうね?」といって実際にその部分を聴かせてくれました。
  ショパンの3番のスケルツォです。最後の盛り上がりの部分。確かに何か聴こえます。同時に激しい音楽の中にはっきりと言ってしまえばミス音も聴こえました。でも、私は自分で録音を今年5回経験した中でアルゲリッチの演奏を聴いて少々のミスも何かの違和音もそれを打ち消すくらいのアルゲリッチの演奏に心を打たれ「そんなのどうでもいいじゃない!」と思いました。人間の作るものです。機械が編集してしまったミスもない、空間の違和音もない、ピアノを弾きこんでいく上に起きる楽器の変化も調整されてしまった人工的な録音より‘人間’を感じたいのです。

  経験とはいろいろと厳しい事も教えてくれますが、やってみなければわからないことも教えてくれます。
 ベートーベンの録音の際は本当に録音後、倒れました!言葉も出なかったです・・・厳しい現実に追い込まれ録音中も、「もう無理!」と泣きたくなりました。
  今回のシューマンはそれまでに4度こういった録音の現場での経験から自分のコントロールが出来るようになったかもしれません。

  そして、このピアノを弾く仕事も一人では出来ないのです。演奏会も当然ですが録音も優秀な技術者のスタッフによって支えられ完成します。その技術者の方たちの心の支えも私にとって現場で倒れそうになった時、「頑張ろう!」と奮起出来る大きな支柱です。ありがとうございます!!

  スタッフの方々の年齢は関係なく支えられる大きな力に私は皆が〝父〟ではないかと思ってしまいます。(年齢は聞いたことがあるかもしれませんが、忘れました!)
 ボロボロになる録音現場での私の精神を支えてくれます。 感謝!!

               


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コメント 6

ぶぅぶぅ氏。

アーティストですねぇ~♪とってもとってもカッコイイです!!! 私には想像もつかない世界です。一曲、一音のこだわりが聞いている人の心にも響くのでしょうねぇ~♪(゚ー゚*)。・:*:・
by ぶぅぶぅ氏。 (2007-12-07 21:00) 

こんとらばっそ

すごい集中力ですね!
<人間の作るものです。~人工的な録音より‘人間’を感じたいのです。>
ホントに同感です!
機械による完璧さを求めては、それはもう音楽じゃなく、
単なる音になってしまいますよね。
おっと、柄にもなく偉そうなことを言ってしまいました (^^ゞ
by こんとらばっそ (2007-12-07 22:10) 

ake_i

こんとらばっそ様
偉そうなこと・・ではないですよ。
同感していただいて本当に嬉しいです。
世の経済をはじめ何か自然の人間の営みから離れてしまっているような気がします。
もう少し前の時代に生きてみたかったです($・・)/~~~が、これからも不屈の精神!を持って楽しく生きたいです^^
by ake_i (2007-12-08 00:12) 

ake_i

SIROTAN様
こだわりが伝われば、やりがいを感じます。
今夜は主人も主張でひとりお気楽夕食です。
カレーです^^;

カレー頂きながらこのコメントさせていただきました。
明日もお互いに健康で過ごしましょう^^;^^;
by ake_i (2007-12-08 00:38) 

ぼるふがんぐ

最近はなかなか時間がなくてライブで音楽が聴けなくなっています。自然、通勤途中のウォークマン(自分sony派です)か、
帰ってきてのCDが音楽になってます。  ^^; 情けない。

でも、本当は一期一会の演奏会が好きです。
ミスやずれみたいな細かいところを気にしている余裕なんてなく、音たちの繋がりが作り出す自然な流れと(その時にしかない流れですね)、それを生み出している演奏者達の気迫を同時に感じるのが好きなんです。
音と演奏者と会場が作り出す空間の感情の爆発みたいなのが(上手く言えないのですけど)、体が熱くなります ( ^ー^)b-☆ 
自然、CDも作りすぎたのはつまりません。

シューマンは何を録音されたのですか? 魂がこもった演奏で、出来上がりが楽しみですね。
by ぼるふがんぐ (2007-12-08 10:31) 

ake_i

ぼるふがんぐ様

私もなかなか演奏会に足を運ぶことが出来ていません。
今週初めに天満さんのヴァイオリンを聴きに出かけたのも時間的に「思いっきり!」が必要でした。

それと12月はオケ、ほとんど第九です。今、ブラームスのシンフォニープログラムを聴きたいと思って探しているのですが無いです。今、聴きたいのですが・・・・

シューマンは
謝肉祭・子供の情景・アラベスクの作品。
もっとこだわって弾きたいとテスト版を聴いて勉強になりました。
この繰り返しですね。録音は本当に勉強になります。本当に表現しようとおもって音にしないと機械がひろわないのです・・・だからこれから、もっとわかるように弾かなくちゃ・・・他の方の演奏を聴いてもやはり生のほうがいいのではないかな?と思うのですが昔の演奏家の録音はどうしてああも味があるのでしょう?
大きな課題です。シューマンはもう録音は完了。あれはあれでもしかしたらクララ状態???の感じでしょうかクララって技巧派だったのでもしかしたら謝肉祭もあんな風に弾いたのかなと録音聴いて思いました。
by ake_i (2007-12-08 10:43) 

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