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越智小学校 芸術鑑賞 田中明美ピアノ教室 ♪♪♪ [ピアノ]

  芸術鑑賞会「田中明美ピアノ教室」 本番です!

 10時30分、元島先生からご誘導を頂き、音楽室に入ると全校の生徒さん、ご父兄の方々、先生方に元気いっぱいの拍手で迎えられました。「わぁー!」と声を出している子供たちもいて、私はすぐに仲良しになれる!と感じました。

  校長先生からご紹介があり、さて「ピアノ教室」の始まりです。

 子供たちの表情はとても明るく元気で、そのエネルギーの強さに寒いと感じていた空気も瞬く間に温かくなりました。
 予定ではベートーベンの“エリーゼのために”から導入でしたが、あいにくの曇り空と寒さでしたので、何か温かいものを・・・と起床してからずっと考えていました。
 まず、ピアノの椅子に座りいきなりシューマンの“炉辺にて”(子供の情景より)を演奏しました。
ヘ長調のこの作品は家族で囲炉裏を囲んでいる和やかで温かいムード。シューマンが子供の頃の情景を思い描いて大人になってから書いたものです。1分足らずの曲ですが、ほんわか、あったかい一口おまんじゅうのような優しい性格をもっています。 

 “炉辺にて”を演奏し終えると、はじめて声を出します。
「おはようございまーす!」と大きい声で挨拶をしました。すると、負けずに皆も「おはようございまーぁーす!!!」と・・・・本当に嬉しいスタートです。

  ここからは、もう一人の世界です。助けてくれるのは生徒たちの笑顔だけです。
やるしかない!!!
 まず、ベートーベンが“エリーゼのために”を作曲したころの様子をお話ししました。そして、失恋の心境をピアニッシモだけを使って表現した事実を理解していただくために少々、強弱記号の説明をさせていただきました。
 「p」「f」の意味と「pp」、クレッシェンド、デクレッシェンドなど黒板に書いてその意味を説明します。そして「pp」だけが記入された楽譜の原典版の表紙を実際に手に持ち見せました。

 こうして予定の演奏が始まり、しっかりとお話を聞きピアノも聴く全校生徒の皆さんを純真な子どもたちだと感じながら大曲、シューマン“謝肉祭”に入ります。ベートーベンが“エリーゼのために”を作曲したのが1810年、彼が40歳。今度はこの1810年に生まれた作曲家シューマンのお話です。

  ここではシューマンの性格を話さなくてはなりません。そして“謝肉祭”の中に登場する人物の中でもオイゼピウスとフロレスタンという両極端な違いを持つ二人の性格を話す段階に入りました。
 シューマンを知っている人いますか?と質問すると教室の後ろ側の生徒たちは全員手をあげました。そして音楽室の壁に貼ってある作曲家たちの肖像画の中からシューマンを指してニコニコしています。
 あらあら予習していたのかしら・・・と思いながら次の突っ込み!
 シューマンのお誕生日は1810年6月9日です。6月生まれの人、手を挙げてくださーい。
 
ぽつぽつ手を挙げる子たち・・・私は一人ずつ星座を聞きました。するとどの子も蟹座。双子座がいない・・・どの子に聞いてもそこまでは皆、蟹座。あれ?と思い、シューマンは双子座です。そして私も双子座です。双子座の6月生まれの人???
 
と質問するとハイ!と元島先生が挙手され、次から次へと双子座が現れました。中にはうちのおかあさん、双子座だよ!と皆、慣れてきたみたいでした。私が言いたかったことは、双子座の人って一人の人間なのだけれど二つの性格を持っているような気がするね・・・
 シューマンも生まれ持った性格の中に二面性のようなものがありこの“謝肉祭”では、クルクル変わる性格の小品の集まりですとお話ししました。特にオイゼビウスの瞑想家VSフロレスタンの活発さを説明したかったです。作品のどの部分にこの二人が出てくるのか、それを演奏しながら説明することは出来ません。
 ゆったりした踊り、激しい踊りがあり、怒っているのかと思えば泣いているような曲もある。クララやショパンも登場し、そして、様々な架空の人物の性格が書かれており最後には皆で戦いに打ち勝つように頑張っている様子が表現されていること。そして勝利に結びつくことになるのだけれど、私が勝ったぁーと皆に思ってもらえる演奏が出来るかどうか・・・ということを語りました。この時点でまだ私は作品の中に意識は入っておりませんでした。
 
 お話をして、演奏をするというのは中々難しいことです。お話も聞いている皆に理解できるように話すとなると一端の作品解説だけではどうにも伝わらないことが多いからです。お話の段階でもその気にさせる!そして、演奏面でももちろんその気にさせる!そうでないとお話も演奏も相手に伝わりにくいと常に思っています。
 ピアノの演奏はアドリブ効きませんが、お話はその場にいるお客さんたちの醸し出す空気から何やら察知しこちらでコントロールすることが出来ると思いました。何日も何を話そう?とずっと考えていても何も解決しないこともあります。シナリオのみ作ってあとはお教室のみんなと作ることにしようと前夜決めておりました。なにしろ、ピアノは練習しておかないと指がいろいろな突発的事件に追いついて行かなくなりますから、しっかり練習します。

 “謝肉祭”を弾き始めて直後、生徒達に大きな反応がありました。それまでのピアノの演奏の時間にはなかったことで、作品が始まると何やらザワツイテいるのです。「一体、何が起きたの????」という感じでした。いつも置いてある音楽室のピアノが想像もつかなかった音を出している!!!とビックリしたのかしら???と私は思いました。2曲目のピエロに入ると治まりました。この子供たちの反応はとても面白かったです。が、演奏を続けなければならないので少々集中力の維持にふんばりが必要だったことも事実です。本当は1曲目の後に「びっくりした?」とお話をしたかったくらいです。
 これくらいのことは何でもないですが、演奏家は演奏中に普段の練習では聞けない音や動きも本番には受け入れて演奏を続けなければなりません。いつもいつもピアノ以外の音が鳴らないなんてあり得ませんから・・・くしゃみも咳も突然の音に敏感になってはならないのです。人間の出す自然な音は私は平気です。(携帯電話の音は勘弁してください。) 

 とっても反応の良い子どもたちと作った時間は私一人で成し遂げたと思っていません。越智小学校の全校生徒さんと先生方の力強いご協力があって、どうにか“謝肉祭”を演奏し終えました。

 この写真は“謝肉祭”演奏が終わった直後の一枚です。主人が写していました。
私は今もこの写真を見ると心が熱くなってきます。
 実際には私はピアノの椅子から立ち上がって全員の表情を見ることが出来ていましたが、全員が本当に良いお顔をされていて幸せに思ったのです。
 割れんばかりの拍手で、いつ止まるのかしら・・・いつまでも止まりませんでした。
頂いた花束をピアノの脇に置くと拍手がピタッと止まりました。
 “謝肉祭”を演奏し終えるとかなり呼吸が激しくなっています。毎度のこと!!!400メートル全力疾走直後みたいな心拍数です。
 拍手に応えてアンコールを考えました。椅子に座ると、ショパンが思い浮かびました。考えていた時間は10秒以内だと思いますがショパンの作品が5~6曲思いつきました。ここにいる皆さんに聴かせたいと思った5~6曲からピンときたものがあり座ったはずがもう一度立ち上がりお話をしました。
 “子猫”と“子犬”のワルツ2曲を弾きます。どっちが子猫で子犬か後で聞きます!

 
演奏が終わると3年生のグループ全員に尋ねました。そうすると最初に弾いた方が子猫!と全員が正解!!!間違った子はいませんでした。さすがショパン!!!子犬のワルツは皆に知られている素晴らしい作品、そして名前こそ知らない方も多いけれど子猫のワルツとタイトルをつけたショパン、ほんとさすが!!!皆、わかりましたよー^^;

 もう少し聴きたい・・・?という空気がたくさんありましたが、時計を見るとすでに60分以上が経過しており、子供たちの集中力の限界までは可哀そう・・・あとは私のパワーの余力に自信がありませんでした。あと25メートル泳ぎ始めたら途中で水没していたかもしれない・・・という感じです。
 興奮しきった皆様の精神を責任を持っておさめなければなりません。
 シューマンの“トロイメライ”です。静かに心を込めて演奏しました。

 最後の最後に6年生の女の子が今日の演奏会を聴いた感想をお話ししてくれました。
「今日は本当にありがとうございました・・・・・ベートーベンが“エリーゼのために”を書いたわけがわかった事とそれを感じたこと。そして“謝肉祭”では楽しい曲もあり優しさあふれる曲もあり沢山の曲があったけれど最後には勝利を感じて嬉しかったです。・・・・・・・・・・」
 誰かに教わった言葉ではない彼女の心の底からの気持ちであると感じ涙がこぼれそうになったのです。

 

 越智小学校の音楽室そしてピアノ、黒板。これからもずっとずっと越智の子供たちを勇気づけて健やかに育っていくように見守っていてくださいね。
 私は音楽室とピアノ、黒板があるとこんなにも幸せなことだと知ることが出来て本当に感謝しています。地域の方々のお力と校長先生をはじめとする学校関係者の皆様のご協力、ありがとうございました。  ♪♪♪
 
 
 


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ぼるふがんぐ

子供さんたちに感動を与えた、とっても素敵なコンサートだったようですね ^^  
読ませて頂いて、実際には聴いていないのですが、演奏している側と演奏を聞いている側が一体になっている様子が、伝わってきました。
演奏者と聴く側が一体になれるコンサート、これほど良いものは他にはないと思います。 ♪♪♪  音楽のほんと、すばらしいところと思います。
ご主人のサポートもniceです!! 良いご夫婦でうらやましいです。

最後に弾かれたトロイメライ、聴きたいなって思いました。  ^^
by ぼるふがんぐ (2007-11-29 21:20) 

ake_i

嬉しいコメントを有難うございました。
おまけに主人へのniceまで頂きまして、恐縮です^^;

演奏者と聴衆が一体になれることをいつも努めておりますが、年齢も国籍も関係なく音楽が言葉となって心同士がつながること、これは本当に幸せなことです。
今回は一年生から六年生という感受性の違う、そしてめまぐるしい成長過程にある年齢層ということでかなり考えましたが、結局は最低限のわかりやすい言葉で話すこと。そして、何よりもピアノで伝えようと思いました。

私は外国語が得意ではありませんが、しっかりと伝えたいと思うと外国でもなんとかやれるものだと図々しくならざるおえない経験からピアノは練習をすれば外国語よりやや楽と思ってもいます。

ぼるふがんぐさんのコメントを読ませて頂き疲れも吹き飛びました^^;
by ake_i (2007-11-30 13:41) 

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